医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例機械学習で乳がん発生リスクにせまるフィンランド発の研究

機械学習で乳がん発生リスクにせまるフィンランド発の研究

乳がんの発生に関わるリスク因子は、近年になり特定が相次いできた。他のがんと同様、乳がんでも遺伝的な要素と非遺伝的な因子の双方がリスクとなる。そのため、同時多発するリスク因子の組み合わせを効率的に解釈できる機械学習モデルの開発に注目が集まっている。「乳がんリスクについて遺伝的要因と患者属性因子との相互作用から機械学習アプローチにより予測する」研究成果が、フィンランドの研究者グループから学術誌 Scientific Reportsに発表された。

東フィンランド大学のニュースリリースによると、同研究では遺伝子の相互作用マップが構築され、そこに「家族歴」と「エストロゲン代謝」に関連するリスク因子が組み合わされることで、最適な予測精度がもたらされることが機械学習モデルから示された。乳がんの発生を予測するうえでは、遺伝子変異よりも、非遺伝子的リスク因子である患者特性の組み合わせの方がより重要な素因となる可能性も示唆されている。

同研究のようなアプローチは、乳がんスクリーニング全体のパフォーマンス向上と、そこに充てる医療資源の効率的な配分を可能にする。研究グループによると、今後はマンモグラフィなど画像検査のデータソースも組み合わせた乳がん予測モデルの開発に着手しているという。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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